私立大学の双璧として君臨する早稲田大学と慶應義塾大学。これらの大学を志望する受験生にとって、合格への大きな指標となるのが「早慶模試」です。しかし、各予備校がさまざまな模試を実施しているため、「どの早慶模試を受ければいいのかわからない」「自分に合ったおすすめの模試はどれ?」と悩んでいる高校生や保護者の方も多いのではないでしょうか。
早慶の入試問題は非常に独特で、一般的な記述模試やマーク模試の判定だけでは、合格の可能性を正確に測ることは困難です。だからこそ、志望校の出題傾向に特化した早慶模試の受験が不可欠となります。
この記事では、大学受験情報サイト「逆転コーチング」のプロ講師が、受験生におすすめの早慶模試を徹底比較し、それぞれの特徴や難易度、選び方についてわかりやすく解説します。さらに、模試の結果を無駄にせず、逆転合格へとつなげるための具体的な復習方法や活用術についても詳しくご紹介します。
そもそも、早慶模試とはどのような模試なのでしょうか。まずは、一般的な模試との違いや、なぜ早慶志望者がこれらの模試を受けるべきなのか、その理由を整理しておきましょう。
早慶模試とは、大手予備校が早稲田大学および慶應義塾大学の入試問題を徹底的に分析し、その出題傾向や難易度、形式をリアルに再現して作成した模試のことです。
主な目的は、現在の自分の実力が早慶の合格ラインに対してどの位置にあるのかを正確に把握すること、そして早慶特有の難解な問題に対して「どのような時間配分で解くべきか」という実戦的な感覚を養うことにあります。
高校でよく受験する「共通テスト模試(マーク式)」や「全統記述模試」などの一般模試と、早慶模試にはいくつかの決定的な違いがあります。
出題難易度のレベル 一般模試は全国の幅広い受験生を対象としているため、標準的な難易度の問題が多く出題されます。一方で早慶模試は、最初から早慶の難解な入試レベルに焦点を合わせているため、難易度が格段に高くなります。
出題形式と配点 早稲田の「正誤判定問題」や、慶應の「小論文」「超長文読解」など、大学・学部特有の形式がそのまま再現されます。一般的な模試では測れない「早慶特有の設問への対応力」を測ることができます。
受験生の母集団 一般模試には、志望校を問わず多くの高校生が参加します。しかし、早慶模試を受けるのは「本気で早慶を志望しているライバルたち」ばかりです。そのため、より本番に近いハイレベルな母集団の中での自分の順位を知ることができます。
早慶を目指す受験生が早慶模試を受けるべき最大の理由は、「合格への距離を正しく測定するため」です。
一般の模試でA判定やB判定が出ていても、早慶特有の問題に対応できず、本番で不合格になってしまうケースは少なくありません。逆に、一般模試での判定が振るわなくても、早慶の出題形式に特化した対策を積んでいる生徒が、早慶模試で実力を発揮して合格を勝ち取る「逆転合格」の例もたくさんあります。
志望校に特化した模試を受けることで、自分がどの分野で点数を落としているのか、どの学部形式が得意なのかを明確にし、残りの期間の学習計画を最適化することができるのです。
ここからは、予備校各社が実施しているおすすめの早慶模試について、それぞれの特徴や難易度、受験するメリットを詳しく解説します。
河合塾の「早慶レベル模試」は、数ある早慶模試の中でも特に受験生からの信頼が厚く、おすすめ度の高い模試です。
特徴: 早稲田大学・慶應義塾大学の文系・理系学部を対象に、本番の入試を想定した質の高い問題が出題されます。河合塾の誇る豊富な入試データに基づいた判定が出されるため、信頼性が非常に高いのが特徴です。
難易度: やや難〜難。基礎から応用までのバランスが良く、極端に難解すぎる悪問が少ないため、現在の実力を正確に測定するのに適しています。
おすすめポイント: 受験者数が非常に多く、母集団の規模が大きいため、志望者の中での自分の正確な立ち位置(順位)を知ることができます。早慶を目指すのであれば、まず受験を検討すべき必須の模試と言えます。
駿台予備学校が実施する「早慶大入試実戦模試」は、特に難関国公立大学(東大・一橋大・東工大など)と早慶を併願する層が多く受験する模試です。
特徴: 早大入試実戦模試、慶大入試実戦模試として、それぞれの大学に特化した形で実施されることが多いです。記述式を中心に、深い思考力と論理的な記述力が求められる問題が多く出題されます。
難易度: 難〜極難。全体的に問題のレベルが高く、一筋縄ではいかない設問が並びます。特に記述問題の採点基準は厳格です。
おすすめポイント: 最難関層が集まるため、ハイレベルなライバルたちの中で自分がどれだけ通用するかを試す絶好の機会になります。記述・論述対策が必要な学部(特に慶應の小論文や、早稲田の文・文化構想学部の記述など)を志望する受験生に非常におすすめです。
東進ハイスクール・東進衛星予備校が実施するこの模試は、年間を通じて複数回実施される点が大きな特徴です。
特徴: 早稲田・慶應に加えて、上智・東京理科大や難関国公立大のレベルに対応した記述模試です。東進ならではの「スピード返却」が強みで、受験後中数日で成績表が返却されるため、記憶が新しいうちに復習ができます。
難易度: やや難〜難。標準的な早慶レベルの問題から、思考力を問う応用問題まで幅広くカバーしています。
おすすめポイント: 実施回数が多いため、年間を通じて自分の成績の推移(伸び幅)を定点観測するのに適しています。また、解説授業が映像で提供されることも多いため、独学で受験勉強を進めている受験生にとっても復習がしやすいシステムとなっています。
代々木ゼミナール(代ゼミ)が実施する「プレ模試」は、本番の入試を徹底的にシミュレーションした完成度の高さが特徴です。
特徴: 「早大入試プレ」「慶大入試プレ」として、それぞれの大学専用に特化して実施されます。各学部の出題傾向、問題用紙・解答用紙のレイアウト、さらにはフォント(書体)に至るまで、本物の入試問題にそっくりに作られています。
難易度: 難(本番と同等レベル)。
おすすめポイント: 本番さながらの臨場感を味わうことができるため、精神的なシミュレーションとしても最適です。代ゼミの講師陣が作成する予想問題は的中率が高いことでも知られており、秋以降の直前期に受験することで、本番への大きな自信へとつながります。
複数の予備校が早慶模試を実施しているため、「すべてを受けるべきなのか」「どれを優先すればいいのか」迷ってしまいますよね。ここでは、自分に合った最適な早慶模試を選ぶための3つのポイントを紹介します。
まず第一に、自分が志望する大学・学部の出題傾向が、その模試でしっかりと再現されているかを確認しましょう。
例えば、慶應義塾大学を志望する場合、英語の超長文読解や小論文の対策が必須となります。そのため、小論文がしっかりと出題され、丁寧な添削指導が受けられる「慶大入試実戦模試」や「慶大入試プレ」を選ぶべきです。 一方、早稲田大学を志望する場合は、学部ごとの独特な英語長文や国語の現古漢融合問題などに対応している「早大入試プレ」や「早慶レベル模試」が適しています。
すべての早慶模試を闇雲に受けるのではなく、自分の志望大学の対策として最も効果的な模試を絞り込んで受験することが大切です。
模試を受験する目的の一つは「ライバルの中での立ち位置を知ること」です。そのため、受験者数(母集団の規模)が多く、かつ受験生のレベルが高い模試を選ぶことが重要です。
この観点から言うと、河合塾の「早慶レベル模試」は受験者数が多く、標準的な早慶受験生から最難関層まで幅広くカバーしているため、最も客観的な判定が期待できます。また、国公立併願組が多く集まる駿台の「早慶大入試実戦模試」は、より高いレベルでの競い合いを求める受験生におすすめです。
自分自身の勉強の進捗状況に合わせて模試を選ぶことも忘れてはいけません。
例えば、夏休み前の段階でまだ基礎が固まっていない状態で、難易度の極めて高い駿台の記述模試を受けても、全く手が出ずに自信をなくしてしまう可能性があります。 まだ基礎力に不安がある時期は、全体の基礎力を測る記述模試や東進の模試を活用し、基礎が完成し実戦力を試したい秋以降(10月〜12月頃)に、各予備校の「早慶プレ・実戦模試」に挑戦するというように、時期に応じた選択をしましょう。
早慶模試は一年中いつでも受けられるわけではありません。適切な時期に受験し、学習のステップアップに役立てるための年間スケジュールのイメージを持っておきましょう。
この時期は、まだ早慶に特化した模試はそれほど多く実施されていません。まずは一般的な「マーク模試」や「記述模試」を受験し、主要科目の基礎力(英語の単語・文法、国語の読解力、選択科目の通史など)が身についているかを確認します。
もし夏頃に早慶レベルを冠した記述模試があれば、現在の自分の実力が早慶の問題に対してどれくらい通用しないのか(ギャップの把握)を知るために、現状把握の目的で受験してみるのがおすすめです。点数が取れなくても落ち込む必要は全くありません。
10月から12月にかけては、早慶模試の「黄金期」です。各予備校で「早大プレ」「慶大プレ」「早慶大入試実戦模試」などが目白押しとなります。
この時期は、これまでに培った基礎力が、早慶の過去問レベルの初見の問題に対してどのように発揮できるかをテストする実戦演習の場となります。志望する学部の模試を中心に、月に1〜2回程度のペースで計画的に受験しましょう。
12月下旬から1月以降の直前期は、新しい模試を受けるよりも、これまで受けてきた模試の解き直しや、実際の過去問演習に時間を割くべき時期です。
模試で浮き彫りになった弱点分野(例:早稲田の正誤問題、慶應の自由英作文など)を徹底的に補強し、本番の試験時間内に全問を解ききるための時間配分の微調整を行います。
模試を受験した後に最も気になるのが「判定」や「偏差値」ですよね。しかし、早慶模試の結果を見るときには、一般的な模試とは異なるいくつかの注意点があります。
結論から申し上げますと、秋の早慶模試でE判定やD判定であっても、合格を諦める必要は一切ありません。
その理由は主に以下の3点です。
母集団のレベルが非常に高い 早慶模試を受験している層は、そもそも全国のトップ層や、第一志望として何百時間も早慶対策をしてきた猛者たちです。その中での相対評価になるため、偏差値や判定は低めに出るのが普通です。
本番までの期間で急成長する受験生が多い 早慶の入試は、独特の出題形式に「慣れる」ことで、点数が一気に跳ね上がることがよくあります。模試の時点ではまだ過去問対策が十分にできていなかった受験生が、冬の徹底的な過去問演習によって一気に逆転合格することは珍しくありません。
合格最低点さえ超えれば合格できる 模試の判定は全体的な偏差値から算出されますが、実際の入試では「合格最低点」を1点でも上回れば合格です。特定の科目が圧倒的に得意であるなど、変則的な武器を持つ受験生は、模試の判定が低くても本番で勝つことができます。
早慶模試の結果が返ってきたら、偏差値の数字に一喜一憂するのではなく、以下の情報を細かく分析しましょう。
志望者内順位: その模試を受験した早慶志望者の中で、自分が何番目にいるのかを確認します。早慶の各学部には定員がありますから、合格者枠(志望者の中の上位何%に入っているか)を意識する方が、偏差値よりもはるかにリアルな合格への距離を測ることができます。
設問ごとの正答率(レーダーチャート): 「英語の長文読解は平均以上だが、文法・正誤問題で大きく失点している」「現代文は取れているが、古文・漢文が壊滅している」など、分野ごとの得点状況を確認します。全体として点数が悪くても、落としてはいけない「正答率の高い基礎問題」を落としていないかを確認することが最優先です。
結果の判定に応じて、その後の学習アプローチを切り替えましょう。
A・B判定のあなた: 基礎力・実戦力ともに順調に仕上がっています。ただし、油断は禁物です。早慶の入試は難化することもあるため、苦手な単元を完全になくすための「穴埋め」作業と、より高得点を目指すための記述・応用対策を継続しましょう。
C・D判定のあなた: 合格の可能性は十分にあります。あと一歩で合格圏内に入る状態です。失点した原因を分析し、特に「他の受験生の多くが正解しているのに、自分が間違えた問題」を徹底的に復習して得点源に変えていきましょう。
E判定のあなた: まだ基礎に抜けがあるか、早慶のスピード感に対応できていない可能性が高いです。焦って難問ばかり解くのではなく、一度標準的な参考書に戻って基礎知識を再確認し、志望学部の過去問を「時間を気にせずに解いたら何割取れるか」をテストして、知識とスピードのどちらに課題があるかを切り分けましょう。
「模試は受けた後が本番」とよく言われますが、これは本当にその通りです。模試を単なる「実力測定の場」で終わらせず、「成績を伸ばすための最強の教材」として活用するための具体的なステップを解説します。
模試が終わって帰宅したら、疲れているとは思いますが、その日のうちに必ず自己採点と簡単な振り返りを行いましょう。
時間が経つと、「なぜその選択肢を選んだのか」「どういう思考プロセスで間違えたのか」という感覚を忘れてしまいます。 当日の記憶が鮮明なうちに、解説冊子を開き、自分の解答と照らし合わせながら「これはいけると思ったのに間違えた」「ここは完全に勘で答えて当たった」といった印を問題用紙に書き込んでおきましょう。
復習をするときは、間違えた問題をただ解き直すだけでなく、「なぜ間違えたのか」の原因を以下の2つに分類してください。
知識不足による失点
単語の意味を知らなかった、公式を覚えていなかった、歴史の用語を忘れていたなど。
対策: 単語帳や教科書に戻って暗記し直す。この失点は、覚えればすぐに点数になる「伸びしろ」です。
思考力・アプローチ不足による失点
知識はあったのに問題文の意図を読み違えた、時間配分が足りなくて最後までたどり着かなかった、計算ミスをしたなど。
対策: なぜその思考のズレが起きたのか、どうすれば時間内に解けたのか、解法のプロセスをノートに言語化して整理する。
特に、後者の「思考力不足」による失点を防ぐことこそが、早慶入試を攻略する鍵になります。
間違えた問題を二度と間違えないようにするために、「模試ノート(解き直しノート)」を作成することをおすすめします。
ステップ1: 間違えた問題(またはコピー)をノートの左側に貼る。
ステップ2: 右ページに、正しい解答へのプロセスや、自分が間違えた「原因」、覚えるべきポイントを赤ペンで記入する。
ステップ3: 定期的に(1週間後、1ヶ月後など)そのノートを見返し、ノーヒントで解けるようになっているか自力で解き直す。
この自分だけの弱点ファイルを作ることで、入試本番の直前に見直す最高の「お守り」にもなります。
模試の結果を分析したら、それを日々の学習計画にフィードバックします。
例えば、「英語の文法問題での失点が目立つ」とわかったのであれば、次の1ヶ月は毎日の勉強時間の最初の30分を英文法の参考書の復習に充てる、といった具体的なアクションプランに落とし込みます。 模試の点数を上げるためではなく、次の模試や本番で「同じ間違いをしないための行動変化」を起こすことこそが、逆転コーチングが推奨する最強の模試活用法です。
早慶模試は、早稲田大学・慶應義塾大学への逆転合格を果たすために欠かせない、非常に価値のある道標です。
最後に、この記事の大切なポイントをまとめます。
早慶模試は一般の模試と異なり、出題レベル・形式・母集団がすべて早慶特化である。
おすすめは受験者数が多く信頼性の高い河合塾の「早慶レベル模試」や、実戦的な代ゼミの「プレ模試」、駿台の「入試実戦模試」。
志望大学の形式(慶應なら小論文など)に合わせた模試選びが大切。
判定がE判定であっても、秋以降の対策次第でいくらでも逆転合格は可能であり、大切なのは偏差値よりも「順位」と「失点原因の分析」。
模試を受けた当日中に自己採点を行い、原因を分類して日々の学習計画を修正する。
早慶模試の問題は非常に難しく、思うような結果が出ずにもどかしい思いをすることもあるかもしれません。しかし、その悔しさをバネに一問一問と向き合い、復習を積み重ねた受験生だけが、本番で合格を勝ち取ることができます。
自分の現在地を正しく知り、志望校との距離を縮めるために、ぜひ今回ご紹介したおすすめの早慶模試を活用して、合格への一歩を踏み出してください。あなたの努力が実を結び、憧れのキャンパスライフを手に入れられるよう、心から応援しています!
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